FXではチャートを色々な手法を使って分析し、トレードすることが主流です。
その中でも特に多い手法というのが、
チャート上に自分でラインを引いて、それを基に売買を行うライン分析
です。
テクニカル分析においてチャート上にラインを引くことは分析の基本といわれる手法です。
ただ、ラインを引くという行為は簡単なようで奥が深いです。
「なんとなく学んだ知識でラインを引いているけどあっているか不安だ…」
という人も多いのではないでしょうか。
そこで今回はFXトレードにおけるラインの種類と引き方について書いていきます。
ラインの引き方の基本を解説するとともに、ラインを引いたときに出てくる疑問点(ひげは考慮したほうがいい?ライン引きすぎたけどいいの?)などにも回答しております。
記事内目次
FXにおけるラインの種類
チャート上に自分で引くラインですが、大きくはこの2つがあります。
- 水平線ライン
- トレンドライン
(もちろん独自のロジックで構築したラインを引いている人もいるのでこれが全部というわけではないですが基本はこの2つです)
水平線ライン
水平線ラインとは、チャート上の安値と安値、もしくは高値と高値を結んで水平に引けるラインのことです。
過去のチャート上では、そのラインにて上昇や下降が止まったという実績があるため、今後の相場でもそのラインが意識されるポイントとなります。
この水平線ラインをもう少し細かく分けると
- レジスタンスライン
- サポートライン
という2つがあります。
◆レジスタンスライン
高値と高値を結んだラインです。
◆サポートライン
安値と安値を結んだラインです。
ラインを引くことで、
今の相場は上のレジスタンスラインまでは上がってそこで上げが止まる
とか
下のサポートラインで下げ止まる
みたいなことを予想できるようになります。
また、重要なポイントとしては
レジスタンスライン(高値ライン)は一度そのラインを上抜けすると、今度はサポートライン(安値ライン)として機能する
ということです。
(逆にサポートラインも下抜けすると、今度はレジスタンスラインとして機能する)
下のチャートでは①の前までは、レジスタンスラインとして高止まりを予測するものでしたが、①で完全に抜けきってしまったので、②では逆にサポートラインとして下げ止まりの機能をしました。
このレジスタンスラインとサポートラインの逆転現象のことを「ロールリバーサル」と呼んだりします。
ロールリバーサルが発生すると相場の考え方が逆になります。
以前までは
「レジスタンスラインが上にあるからここで上がるのがストップする」
と考えていたものが、レジスタンスラインを抜けてしまうと、
「抜けたのでもっと上がる。逆に下がり始めてもこのラインで下がりがストップする」
という考えになります。
このラインに対しての考え方がチャートを分析する上で非常に重要になります。
トレンドライン
トレンドラインとは、安値と安値、もしくは高値と高値を結んでななめに引けるラインのことです。
為替のチャートは上昇したり下降したりを繰り返してジグザグに動きます。
その中で、徐々に上がっていく傾向にある上昇トレンド、徐々に下がっていく傾向にある下降トレンドというものが存在し、そのトレンドをとらえるために引くラインとなります。
◆上昇トレンドライン
チャートの安値と安値をななめに引いた右肩上がりのラインです。
◆下降トレンドライン
チャートの高値と高値を右肩下がりにななめに引いたラインです。
トレンドラインを引くことで、現在の相場が上がり相場なのか、下がり相場なのかを判断できます。
また、トレンドラインの延長線上が押し目買いや戻り売りのポイントになりやすいということで、エントリーの判断に使っている人もいます。
(ただ後述しますが、トレンドラインは頻繁にそのラインが抜けて、またラインを引き直すということが多いです。私は単純に目安として使っていてエントリーの判断には使っていません。)
水平線ラインの引き方
水平線ラインの引き方ですが、種類の説明でもしましたが、基本的には
チャート上に表れる「山」「谷」を見て、同じ位置にある高値と高値、もしくは安値と安値を結びます。
この話をすると、
「ローソク足のヒゲで引くの?実体(終値)で引くの?」
という疑問を持つ人が多いです。
基本的には、ヒゲが高値・安値を表しているので、ヒゲを基準に引きます。
ただこれは、高値安値を基準としている人が多いというだけで、ローソク足の実体(終値)を基準に線を引く人もいます。
また、通常はヒゲを基準に線を引いている人も、異常に長いヒゲが存在する際にはそのヒゲを無視して実体(終値)で引くこともあります。
ラインを引く目的というのは
多くのトレーダーが重要だと意識しているポイントを見つける
ためです。
なので、重要そうでないラインは引く必要がないですし、完璧に水平で交わらない部分でも重要そうな部分にはラインを引いたほうがよいです。
チャートの高値、安値によって形成される「山」と「谷」を見て
「この値段付近で同じように高値(安値)止まりしているな。この値段をみんな意識しているっぽい」
というくらいの感覚でラインを引けばよいかと思います。
ですが、このような話をすると
そんなあいまいな基準でライン引けって言われてもわからないよ!
となることが多いです。
そこで、水平線ラインを引くうえで意識するポイントを紹介していきます。
水平ラインを引くうえでのポイント
水平ラインを引くうえで重要となるポイントというのが、
チャート上に表れる「山」「谷」のとらえ方
です。
チャートは波のように動いていて、その波の「山」「谷」と呼ばれる高値圏、低値圏が存在します。
ただ、チャートを見ていると、小さい山から大きい山まで多様なものがあるので、どれを山ととらえてよいのかわからなくなり、変なところでラインを結んでしまいラインを引きすぎるということが発生してしまいます。
ここで重要なのが
チャートの「山」「谷」の基準を明確に決める
ということです。
基準があれば、様々なチャートの形を見た時でも同じ考えで山、谷をとらえて水平線ラインを引けるようになります。
チャートの「山」「谷」をとらえる基準として有名なのは
スイングハイ・スイングローの理論
です。
スイングハイ、スイングローの理論というのは、アメリカの有名な投資家ラリーウィリアムズ氏の著書「ラリー・ウィリアムズの短期売買法」で語られ有名になった手法です。
簡単に説明すると、
チャートの山と谷に関して、左右6本以上で形成される最高値を「山(スイングハイ)」最低値を「谷(スイングロー)」ととらえる
という理論です。
この理論を使うことで
明確な基準で、いつも同じ考えでチャートの山と谷をとらえることができる
ようになります。
ただ、実際にこの理論を考慮すると、毎回チャートを見るために細かい部分を確認する必要があるため、非常に時間がかかってしまいます。
そこでおすすめなのが、
MT4のインジケーターを使って、チャートの山と谷をとらえる
という方法です。
mt4のインジケーターには「zigzag」と呼ばれる「高値」と「安値」を自動で結んでくれるツールがあります。
参考 ZigZagmt4インジケータ保管庫
この「zigzag」を使えば毎回同じ基準で高値と安値をとらえて線を引いてくれるので、チャートの山と谷を明確にとらえることができます。
ただ、スイングハイ、スイングローの理論にできるだけ合わせるなら「6」にするのがおすすめです。(厳密には理論とは若干の違いがあります。ただ6くらいがラインの引きすぎも引かなすぎもないレベルだと思います)
(補足)ラインはあくまで目安
上記のようにラインの引き方を解説しましたが、引いたラインぴったしで上昇や下降が絶対に止まるというわけではありません。
あくまで「意識されるポイント」で、おそらくこのライン付近に指値での買いや売りが集まっていると想定できるポイントになります。
なので、このライン付近に来た時には
チャートの勢いが弱まり、相場が反転する
ということもあれば、
チャートの勢いが止まらず一気に抜けきってしまう
こともあります。
(勢いが弱まってぐずついた後、結局抜けてしまうということもあります)
この水平線ラインをどう使用するのかは自分が使用しているロジックによりますが、みんなが意識しているポイントは何か相場に変化が起こりそうなポイントであることを覚えておきましょう。
トレンドラインの引き方
トレンドラインに関しては簡単にいえば、
チャートの谷と谷(安値と安値)、または山と山(高値と高値)を結ぶ
というただそれだけです。
水平線ラインの場合は同じ位置(値)にあるものを結びましたが、トレンドラインの場合は斜めに結ぶので、その制約もありません。
ただ、たったこれだけの考えでトレンドラインを引こうとすると、色々間違ったラインを引いてしまいます。
トレンドラインに関しては何点か引くためのルールがあるのでそれを以下で解説します。
トレンドラインを引くうえでのポイント
トレンドラインを引くうえでのポイントは3つほどあります。
- チャートの「山」「谷」の基準を明確に決める
- トレンドラインの引き始めは直近の高値(or安値)を更新した時
- トレンドラインの引き直しも直近の高値(or安値)を更新した時
以下順に説明していきます。
ポイント①:チャートの「山」「谷」の基準を明確に決める
これは水平線ラインの引き方の説明と同じです。
チャートの山、谷とする基準が明確でないと、変なところにラインを引いてしまうのできっちり基準を作りましょう。
ポイント②:トレンドラインの引き始めは直近の高値(or安値)を更新した時
トレンドラインを引くときに
「なんとなく、下降から上昇に転じてトレンド転換したように見える。安値どおしでライン引けるからひいちゃおう」
みたいな感じでノリで引いてしまう人がいます。
しかし、チャートがトレンド転換したかどうかというのも明確な基準をもって判断し、その明確な基準を確認してからラインを引く必要があります。
トレンド転換したかどうかのサインとなるのが、
直近の高値(or安値)を更新したかどうか
です。
例を出します。
まず間違った例から紹介しますが、以下のチャートをみてください。
安値と安値をつなぐだけなら、ここでも上昇トレンドラインを引けるなーと思い、引きたくなってしまいます。
しかし、この状態ではまだトレンドが発生しているとは言い切れません。
この状態では、まだ直近高値を更新していません。
なので私はまだ「トレンド転換していない」という判断をくだします。
この時点ではこのラインを引くには早すぎるので引くことはできません。
ただ、もうちょっと時間が進んで、以下のようなチャートになりました。
この場合は直近の高値を更新しているので、トレンド転換したとみなして、トレンドラインを引くことができます。
さっき引けなかったラインとまったく同じラインですが、高値更新を確認してからようやく引き始めることができます。
このルールを守らないと、まだ下降トレンドなのに、上昇トレンドのラインを引いてしまうなんてことが発生するので気をつけましょう。
ポイント③:トレンドラインは引き直しも直近の高値(or安値)を更新した時
引いたトレンドラインに関しては、引いたライン通りにトレンドにのることもあれば、ラインを抜けてしまうことも結構あります。
ラインの抜けてしまった場合には、そのトレンドラインは機能しなくなったと判断して、トレンドラインを引きなおすことも可能です。
トレンドラインを引きなおす際も
直近の高値(or安値)を更新したかどうか
を確認する必要があります。
こちらも例を出します。
例えば、上記のチャートであればトレンドラインを抜けてしまったけれど、トレンドはまだ続いているように見えます。
なので、直近の安値である部分にトレンドラインを引き直したいという気持ちが出てくるかと思います。
しかしこのチャートの場合、直近高値を更新していないので、まだトレンドラインの引き直しはできません。
結局このチャートは後々、①のラインが意識されたロールリバーサル(反転現象)が発生しました。
次は引き直しが可能な場合の例。
この場合は、直近の高値を更新したので、トレンドラインの引き直しが可能です。
(補足)
トレンドラインに関しても水平線ラインと同様に、「ヒゲ(高値、安値)で引くのか、ローソク足の実体(終値)で引くのか」という議論があります。
これも基本はヒゲでよいとは思いますが、絶対的なルールではなく、ヒゲで引く時も実体で引く時もあります。
投資のすごい有名な本である「投資苑」では、トレンドラインは「もみ合いの縁(ふち)を通るように引く」という記述があります。
「大体多くのトレーダーが同じような線を引いていて、このポイントが意識されているだろうな」
という部分を見つけることが大事なので、自分で線を引いてみて、他の人が書いた線と見比べたりして精度を高めていくことが重要かと思います。
まとめ
FXにおける「水平線ライン」「トレンドライン」は多くのトレーダーが使っている手法です。
このラインの引き方をマスターすれば、かなり信頼性の高いポイントでエントリーや手仕舞いができるようになります。
始めはわかりづらいと感じるかもしれませんが、色々なチャートで練習を重ねてみてください。
以上、「FXでのラインの種類と引き方」に関してでした。
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