今回の記事ではFXをするうえで多くの人が使っている「移動平均線」について、その使い方や特徴、見るべきサインなどを詳しく解説していきます。
移動平均線はFXをするうえでもっともポピュラーであると言っても過言ではないテクニカル分析の指標です。
実際、このサイトではFX教材をいくつか紹介していますが、その多くのロジックで移動平均線が参考にされています。
つまりFX教材やサインツールを購入する場合でも、移動平均線については理解しておいた方が良いということです。
そこで今回の記事では、移動平均線の使い方や仕組み、期間設定の方法、勝率の高いサイン、などをわかりやすくまとめていきます。
移動平均線の使い方や特徴がいまいち理解できていない、という場合には、ぜひ参考にしてみてください。
記事内目次
移動平均線の特徴と仕組みとは?
移動平均線とは、
「相場の方向性や勢いを視認するためのテクニカル指標」
です。
移動平均線を活用することでエントリーポイントや決済ポイントを探したり、相場の大まかな流れを掴んだりすることができるという特徴があります。
移動平均線では、設定した期間の終値の平均値を割り出し、それを繋げてラインにします。
たとえば以下の表は、5日間という期間で1番基本的な移動平均線を表示する場合の値です。
期間 | 終値(実際の価格) | 5日間移動平均線の値 |
1日目 | 100 | – |
2日目 | 130 | – |
3日目 | 100 | – |
4日目 | 130 | – |
5日目 | 160 | 124 = (100+130+100+130+160)÷5 |
6日目 | 115 | 127 = (130+100+130+160+115)÷5 |
7日目 | 145 | 130 = (100+130+160+115+145)÷5 |
8日目 | 175 | 145 = (130+160+115+145+175)÷5 |
9日目 | 125 | 144 = (160+115+145+175+125)÷5 |
10日目 | 175 | 147 = (115+145+175+125+175)÷5 |
この表とグラフを見ていただくと、終値(実際の価格)が上下しているのに対し、移動平均線の値は緩やかに上昇しているのがわかるかと思います。
つまり相場の状況としては、価格が上下しながらも上昇傾向のトレンド状態にあるということを読み取れるわけですね。
逆に一定の値幅を行ったり来たりしている相場環境は「レンジ」といいます。
ちなみに移動平均線を実際のチャートで見ると、以下の画像のようになります。
これはドル円の日足で200日の移動平均線を表示している画像です。
実際の価格を表すローソク足では大きく下降している場面がありますが、移動平均線を見れば、実は長期的にはそこまでハッキリとしたトレンドにはなっていないということがわかります。
このように移動平均線は、相場を大きく見たときのトレンドの向きや強さをわかりやすく表示してくれるものなのです。
さらに移動平均線はポピュラーなテクニカル指標であるため、非常に多くのトレーダーが注目しています。
そのため「多くのトレーダーに意識されている = 移動平均線を起点に多くの人が売り買いを行う」ということで、非常に参考になる指標だと言えるのです。
今回の記事ではその使い方も説明していきますので、ぜひ活用してみてください。
移動平均線の種類
実はFXをするうえで移動平均線には4つの種類があります。
- 単純移動平均線(SMA)
- 指数移動平均線(EMA)
- 平滑移動平均線(SMMA)
- 線形加重移動平均線(LWMA)
それではそれぞれの特徴と、日足で考えたときの計算式を解説していきます。
ここでは細かい計算式などものせておきますが、基本的にはツールによって自動で計算されますので、参考程度に知っておけば良いでしょう。
ちなみにこの4種類の移動平均線は、どれが間違いでどれが正しいというわけではなく、状況や手法によって使い分けを行います。
ただ基本的には、単純移動平均線(SMA)か指数移動平均線(EMA)を使用する場合が多いですね。
単純移動平均線(SMA)
「単純移動平均線(SMA)」は「Simple Moving Average」の略で、もっとも基本的な移動平均線です。
単純に期間内の終値を足して期間で割っただけのシンプルな数値となります。
計算式は以下のとおりです。
SMA = SUM (CLOSE (i), N) / N
※ SUM = 合計
※ CLOSE (i) = 当日の終値
※ N = 計算に使われる期間の日数
指数移動平均線(EMA)
「指数移動平均線(EMA)」は「Expornential Moving Average」の略で、単純移動平均線(SMA)よりも当日の終値に比重を置いた移動平均線です。
当日の終値をより重要視することによって、指数移動平均線(EMA)は単純移動平均線(SMA)よりも早くトレンド転換を察知することができます。
計算式は以下のとおりです。
EMA = (CLOSE (i) * P) + (EMA (i -1) * (1 – P))
※ CLOSE (i) = 現期間の終値
※ EMA (i -1) = 1つ前の期間の移動平均の値
※ P = 価格の値を使用するパーセント
平滑移動平均線(SMMA)
「平滑移動平均線(SMMA)」は「Smoothed Moving Average」の略でEMAを改良したものです。
使い方としてはEMAとほぼ同様となります。
計算式は以下のとおりです。
◆初日の計算式
SUM1 = SUM (CLOSE (i), N)
SMMA1 = SUM1 / N
◆2日目の計算式
SMMA (i) = (SMMA1*(N-1) + CLOSE (i)) / N
◆3日目以降の計算式
PREVSUM = SMMA (i -1) * N
SMMA (i) = (PREVSUM – SMMA (i -1) + CLOSE (i)) / N
※ SUM = 合計
※ SUM1 = 1つ前の足から数えられたN期間の終値の合計
※ PREVSUM = 1つ前の足の平滑化合計
※ SMMA (i-1) = 1つ前の足の平滑移動平均
※ SMMA (i) = 現在の足の平滑移動平均(1つ目以外)
※ CLOSE (i) = 終値
※ N = 平滑化期間
線形加重移動平均線(LWMA)
「線形加重移動平均線(LWMA)」は「Linear Weighted Moving Average」の略で、直近の価格であればあるほど比重を重くした移動平均線です。
ほかの移動平均線よりも実際の価格変動に近い動きをするといった特徴があります。
計算式は以下のとおりです。
LWMA = SUM (CLOSE (i) * i, N) / SUM (i, N)
※ SUM = 合計
※ CLOSE(i) = 終値
※ SUM (i, N) = 重み係数の合計
※ N = 平滑化期間
※参考:MetaTrader 5公式HP
移動平均線の実践的な使い方を解説
ここからは、移動平均線を実際に使う際の実践方法を解説していきます。
いくら優れたテクニカル指標でも、使い方がわからなければ意味がありません。
以下のような内容を説明していきますので、ぜひ参考にしてください。
- 期間設定はどうすれば良いのか?
- MT4(メタトレーダー4)における移動平均線の使い方
移動平均線の期間設定はどうすれば良い?
移動平均線を使ううえで、まず最初に頭を悩ませるのが期間設定のやり方です。
ただ結論を行ってしまうと、移動平均線の期間設定に完璧な答えはありません。
なぜなら人や手法によって期間設定の値は変わるものだからです。
ただ、多くのトレーダーが意識しているポピュラーな期間というものは存在しています。
多くのトレーダーが意識しているということは、それだけその移動平均線に沿って売り買いが行われるということです。
そのため、とくにこだわりがなければポピュラーな期間を設定しておけば問題ないでしょう。
ちなみに移動平均線は短期、中期、長期の期間別に3本ていど引くのが一般的です。
短期トレード(日足) | 「5・10・25」、「5・20・40」 |
中期トレード(日足) | 「5・25・75」、「20・40・200」、「25・75・200」 |
長期トレード(週足) | 「13・26・52」 |
またこの期間は、表示しているチャートの時間足によって変化します。
たとえば200期間の場合、日足なら200日で1分足なら200分です。
表示しているチャートのローソク足1本 = 1期間と考えておくと良いですね。
ただし「200″日”移動平均線」などと書かれていた場合は、そのまま1日が1期間と判断してください。
また、ここで1つ覚えておいてほしいことがあります。
それは、日足の200期間がもっとも信頼性が高い移動平均線であるということです。
実際にトレードをしていると、日足200期間の移動平均線にローソク足が触れた瞬間から反発することも少なくありません。
そのため上記の表の組み合わせで日足の200期間がなかった場合でも、別途わかりやすく200日期間の移動平均線を表示しておくことをおすすめします。
MT4(メタトレーダー4)における移動平均線の使い方
ここからは多くのトレーダーが愛用しているMT4(メタトレーダー4)で移動平均線を表示させる方法を解説していきます。
まず最初に、上部のメニューバーから「挿入→インジケーター→トレンド→Moving Average」の順番でクリックしてください。
すると以下のような画面が表示されるので、「期間」、「移動平均線の種別(移動平均線の種類を参考にしてください)」、「ラインのスタイル(見やすければなんでもOK)」を入力して、OKをクリックするだけです。
あとはこの作業を、短期、中期、長期の期間で繰り返してください。
そうすることで、短期、中期、長期の3本の移動平均線がチャート上に表示されます。
移動平均線における勝率の高いサインとは
移動平均線を表示させると、エントリーポイントや決済ポイントの判断に使える色々なサインを読み取れるようになります。
そこでここからは、移動平均線におけるサインの種類と見方を解説していきましょう。
移動平均線において、高い勝率を得るために使われるサインとしては以下3つが有名です。
- ゴールデンクロス
- デッドクロス
- パーフェクトオーダー
これらについて解説していきますので、ぜひ覚えておいてください。
移動平均線におけるサイン1.
ゴールデンクロス
ゴールデンクロスは、短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜けている状態のことです。
たとえば、以下の画像のような状態ですね。
画像内の赤色のラインが200期間の移動平均線で、水色のラインが25期間の移動平均線です。
水色のラインが赤色のラインを上に突き抜け、実際の価格も上昇してているのがわかりますね。
基本的にこのゴールデンクロスが出たときは上昇トレンド発生のサインであるため、買いのエントリーポイントを示すシグナルとしてよく使われます。
ただしダマシもよくあるので、ゴールデンクロスが発生したからといって過信しすぎないようにしましょう。
移動平均線におけるサイン2.
デッドクロス
デッドクロスは、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に突き抜けている状態のことです。
たとえば、以下の画像のような状態ですね。
画像内の赤色のラインが200期間の移動平均線で、水色のラインが25期間の移動平均線です。
水色のラインが赤色のラインを下に突き抜け、実際の価格も下降してているのがわかるかと思います。
このデッドクロスが出たときは、下降トレンド発生のサインです。
そのためデッドクロスは、売りのエントリーポイントを示すシグナルとしてよく使われます。
要は、ゴールデンクロスの逆パターンですね。
ただし、もちろんこちらにもダマシはありますので、デッドクロスが発生したからといって過信はしないようにしましょう。
移動平均線におけるサイン3.
パーフェクトオーダー
パーフェクトオーダーはトレンドの発生や強弱を把握することができるサインです。
短期、中期、長期の移動平均線が同じ方向かつ特定の順番で並んでいる状態のことをいいます。
方向や並び順は以下のとおりです。
- 上昇トレンド ⇒ 上から短期、中期、長期の順番で並び上昇している
- 下降トレンド ⇒ 上から長期、中期、短期の順番で並び下降している
画像では以下のようになります。
※赤色のラインが200期間(長期)、黄色のラインが75期間(中期)、水色のラインが25期間(短期)の移動平均線です。
◆上昇のパーフェクトオーダー
◆下降のパーフェクトオーダー
パーフェクトオーダーは、ラインの傾きが強いほど強いトレンドであると判断します。
そのためパーフェクトオーダーの発生と傾きを把握しておけば、トレンドに沿った順張りのトレードをする際に役立つのです。
パーフェクトオーダーについては別の記事でさらに詳しく解説していますので、そちらの方も併せてチェックしてみてください。
【まとめ】移動平均線の使い方をマスターすれば相場環境が読める
今回は移動平均線について説明をしてきました。
移動平均線の使い方をマスターすれば、相場環境が読めるようになります。
トレンドの有無や強弱、さらにエントリーチャンスや決済ポイントまで把握できるようになるのです。
移動平均線はポピュラーなテクニカル指標なので、FX教材やサインツールでもよく活用されています。
そのためFX教材やサインツールの購入を考えている場合でも、移動平均線については理解しておいた方が良いです。
この機会に今回の記事をしっかり確認して、移動平均線がどのようなもので、どのような使い方をするものなのか、ぜひ理解しておいてください。
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